こんにちは、 元警察官のnana(@nana_in_nz)です。
「警察官になりたい!」そう思った時、なんとなくその実態がわからない職業に不安を覚える方も多いかもしれません。
とくに女性の場合、「男性社会でやっていけるかな…」「危険なこととかあるかな…」と心配な方もいるはずです。
でも、そんな不安をすこしでも解消して「警察官になりたい!!」というのが本音ですよね?
実はわたしも、警察官採用試験に合格してから警察学校へ入るまでの間や、警察学校卒業間近の配属先が決まる頃、心配事がたくさんありました。
あなたの心配事や質問などを、元警察官の目線と体験をもとにクリアに出来たらと思います。
女性警察官への質問・仕事への疑問にお答えします
これまでにいただいた質問や周りの人からよく聞かれることについて、お答えします。(随時更新予定)
※ 実際の経験を思い出しながら書いていますが、地域や時代によって異なる場合もありますのであくまで参考程度にどうぞ。
交番の24時間勤務はかなりきついのでしょうか?
24時間勤務といってもピンとこないかもしれませんので、シフトの例を書いてみました。
交番勤務は三交替制で、当直(泊まり)、非番(明け)、労休(休み)と呼んでいます。
基本的には 当直→非番→労休 の流れですが、上記カレンダーをご覧いただくとわかるようにひと月に1回か2回、変則的になります。
そのおかげで、ひと月に1〜2回、連休も確保できるということですね。
警察官の交替制勤務の内容と一日の流れ
ここでは、日にちがわかりやすいように上記画像のブルーのシフトだと仮定して説明してみます。
※ 前述のとおり、地域や時期によって異なる場合もありますので参考程度にどうぞ。
出勤から朝礼までの準備
7日朝、警察署へ出勤。7日朝から8日朝までの勤務です。
警察署に着いたら制服に着替えて帯革(たいかく:警棒や手錠、けん銃ホルダーが装備された重いベルト)を身に着け、けん銃を出庫します。
勤務中に使う、交番員共同で使う「書類バッグ」も作成。
お知らせや決済後の書類など、まとめて交番に持っていくものを共同の「書類バッグ」に詰め込みます。
朝礼
朝礼では職務倫理(警察官の職務において重要な項目)の唱和、署長のお話、発生事件・事案と防犯などの連絡などが行われます。
引継ぎと勤務員交替
前日の勤務員と引継ぎなどの連絡を行います。
引継ぎはたいてい警察署か交番です。
特に気をつけるべきことや頻繁に起こる事件・事故などの連絡を受けたり、無線機などの装備品もここで引き受けます。
交番へ行くときには準備した「書類バッグ」を忘れずに。
そのほか自分が当直中に使う歯ブラシセットや簡単な着替えなどの私物を入れた「当直バッグ」も持っていきます。
※「書類バッグ」「当直バッグ」は呼び方などはそれぞれの地域などで異なるかと思います。
交番内での勤務内容
交番勤務は、来訪者対応や110番現場臨場などがメインとなります。
来訪者対応というのは「道に迷ったんですけど…」「お財布失くしたんですが、届いてませんか?」などと、交番に直接訪ねてきた方の対応です。
警察署や交番には管轄区域があるので、場合によっては別の警察署での対応が必要になることもあります。
110番現場臨場は、110番通報があったときに無線機にて連絡を受け、現場へ赴きます。
110番通報以外にも、警察署や交番へ電話があって必要と判断した場合には現場へ赴き随時対応します。
勤務内容はほかにも・・・
- 勤務日誌(勤務員の現場対応状況や休憩時間などを記したもの)の記載
- 巡回連絡、パトロール(徒歩またはパトカー。自転車でのパトロールは、わたしは経験なし。)
- 事件・事故や現場への臨場要請があれば都度現場で事案対応
- 事件・事故の対応があれば必要書類の作成
- 交番内外の点検・清掃
- 地域の方と共同での防犯・事故防止活動
- などなど
交番内での「在所」というのがありますが、勤務日誌などの書類作成や交番の環境を整える時間なのでこちらも大切です。
「うちの近くの交番、いつも人がいないんだよ」という場合、あちこちから「おまわりさーん、助けて!」「自転車盗まれました!」なんて常に誰かから呼ばれているのかもしれません。
交番勤務時の食事
食事も基本的には交番です。
お弁当を持ってきたり、コンビニで買ったり、近くに出前してくれるお店があれば注文することもあります。
事件や事故など事案がなければ落ち着いて食事ができることもありますが、忙しいときは変な時間帯になってしまったりすごくお腹が空くこともあります。
合間にササッと食べるという状況もよくありましたので、交番勤務のときはだんだん食べるのが早くなっていきました。
お腹が空いているのになかなか食事を出来ないこともあるので、サクッと食べられるもの(カロリーメイトみたいなものなど)をなにかいつも交番に置いておくか、当直バッグに入れておくと便利です。
交番勤務時の休憩・仮眠
というのも、「この時間、休憩ね」というように時間を割り当てたとしても、いつどこで何が起こるかわからないためきっちりと決められることはないんです。
立て続けに事案処理を行ったときやひとつの事案で何時間もかかったときなどは、交番に戻ってきたときに少し長めに休憩時間をとることもあります。
夏の炎天下での交通事故の後だったら水分を補給して着替えたり、冬のとっても寒い日、外で事件処理をした後ならあたたかいコーヒーやココアを飲んだり。
そんなふうに、すきま時間で「休憩」をするようになります。
毎回の当直には仮眠時間があって、当直のたびに「早寝」「遅寝」の当番が割り当てられます。
わたしの地域では「早寝」だと23:00から翌3:00、「遅寝」だと3:00から7:00 でした。「中寝」があるところもあるようです。
この仮眠時間中は、よほど大きな事件や事故でなければ起こされることはありませんでした。
当直明け「非番」の朝
当直明けの朝、仮眠後は交番の清掃や朝の事務処理などを行い、8日の勤務員(上記カレンダーのグリーンのシフト)と交替するための引継ぎ準備をします。
交番や警察署によって異なりますが、交番から警察署へ引揚げるか勤務員が交番へ到着した時点で引継ぎを行います。
引継ぎ後、警察署にて事務処理。
これは、勤務日誌を提出したり、勤務中に書き終えられなかった書類を作成したり…。
大きな事件・事故がなくて、朝も時間どおりに警察署へ戻ってこられた場合、だいたい午前中には帰っていました。
非番はとってもお腹が空きますよ!
交番勤務は体調管理が難しそうです…
交番の24時間勤務は、慣れないうちは体が大変です。
いつも寝ているはずの時間に起きていたり、お昼ころ仕事が終わってから寝たり、今までの生活習慣とはガラリと変わってしまいます。
そのうえ勤務中は食事も落ち着いては摂れないので、最初のうちは休めるときにしっかり休むことが大切です。
体調がおかしいなと思ったら、無理せずしっかりケアをしましょう。
取り返しのつかないことになってしまうと大変なので、近くにいる同期や上司と信頼できる関係をつくって、時には相談することも必要です。
夜勤があると肌荒れしますか?
わたしは肌が比較的強いタイプで、あんまり荒れることはなかったです。
でも、当直中の非番の朝は、お肌がしっかり休めていないのでベタつきやすいと思っていました。
そりゃあ3〜4時間しか寝ていないのだからそうですよね。
仕事を終えておうちでゆっくりお風呂に入って寝たら、お肌はもとに戻っていましたよ!
警察官になって一番つらかったことはなんですか?
警察官を辞める3ヶ月ほど前に起きたある事件に関わっていましたが、それを解決しないまま退職のときを迎えたことは今でも思い出しては心がいたむことがあります。
以降その事件は引き継いだ捜査員が担当しているのですが、どうなったかはわたしの耳にはもちろん入りません。
警察官という特殊な仕事上、重大な事件事故が発生した場合にはお休みの日でも招集がかかることがあります。
そういったときのため、長期休暇はもちろん短期でも旅行先などを事前に上司へ知らせる必要があるのです。
わたしはそんなに気になりませんでしたが、なかにはそれを億劫だと思う人もいますね。
事前にお知らせすれば「ダメ!」と言われることもほとんどないですし、そんなに面倒なことではありません。
理不尽なことも多い社会でしょうか?
たとえば、よくある例が以下のようなものです。
上司Aに言われて指示通りにしたのに、上司Bには違うと言われて直した。
→ 上司Aが再度確認して、また違うと言われてもとに戻した。
おそらく警察官だけじゃなく、どこでもそうなのでは!?と思います。
わたしの場合は、今でも良くしてもらっている信頼できる上司が近くにいたので「K部長について行く!」と決めていました。
いろいろと言われたこともありますが、信頼できる人のもとで仕事をしていたので、他の人から何を言われても響きませんでした(笑)
男性社会なので、女性警察官ということに不安を感じます。
全体的な傾向として女性よりも男性の方がネチネチしていないと思います(笑)
体力では敵わないですから、最初からそういうステージで闘おうとしなくて良いと割り切りましょう。
セクハラにかんする不安もあるかもしれませんね。
「なんか嫌だな」と思った時点で誰かに相談してください。同期でも上司でも、警察官じゃない友人でも、お母さんでも。
セクハラって、当の本人はその気が全くないかもしれませんし、同じことをされても何も感じない人もいるから相談するのに勇気がいるのも事実です。
体力等はどのくらい必要でしょうか?
元警察官というと周りから「運動は何をしていたの?」「体力ありそうだね」と言われることも多いのですが、実際にはそうでもありません(笑)
「1km歩いただけで息が切れる」「10kgのものを持ち上げられない」など明らかに著しく体力がない場合を除いて体力をそんなに気にしなくても大丈夫です。
警察学校に入校したらイヤでもトレーニングをするので、少しずつ体力はついていきます。
剣道や柔道をやっていましたか?やっていたら、有利になりますか?
警察学校では剣道か柔道のどちらかを選択して授業で武術を習います。
ほかにも、「逮捕術」という術科の授業がありました。
3歳から術科を始めているひともいるし、警察官になった18歳や30歳で初めて習うひともいます。
もし小さい頃から術科を習っているのであれば、有利になりますね。
ただ、それが採用試験の合否に絡んで有利になるかどうかはわかりません。
あくまでも、警察学校の授業においてはこれまで術科の経験があると有利になると思います。
ちなみに運動音痴すぎるわたしにとって、術科と体育の授業は地獄のようでした。
なんとか頑張っていこうと必死。
自主練しながら出来ないことが悔しくて毎日のように泣いてましたが、残念ながら上達することはありませんでした…(泣)
もちろん、評価は4段階でCとかD。
教官にも卒業時、「おまえは…運動以外の成績は良いんだけどなぁ、このふたつ(術科と体育)のせいで総合が半分も下がっちゃうもんなぁ…頑張ってるのになぁ…」と同情されるくらいひどいものでした(笑)
現役警察官御用達のラインスタンプをつくりました
と思った元女性警察官が、「白ねこポリス」のラインスタンプを作りました。
良かったら見てみてくださいね。
警察官を目指すあなたを応援しています!
警察官を目指すあなたの不安や疑問は、すこしクリアになったでしょうか?
元女性警察官の声を呼んだあなたが「やっぱり警察官になりたい!」と信念を持って頑張っていくことを決めたら、あとは合格を目指すのみです。
試験勉強は大変(だとわたしは思っていました)ですが、その先にご自身が制服を着て勤務している姿を思い浮かべて頑張っていってください!
どれだけ頑張ってもなかなか成果が出ないという方は、ぜひこちらの記事をご覧ください。
ほかにもご質問などがあれば、お気軽にお問い合わせください!
警察官になりたいというあなたのお役に立てるよう、出来る限りお答えできたらと思います。
with LOVE, nana