こんにちは、nana(@nana_in_nz)です。
突然ですが、高校生の頃、将来について悩んだことはありますか?
- どんな進路に進んだらいいのかな。
- みんなどうやって大学を決めているんだろう。
長いトンネルの中で、出口を見つけるまでひたすら走り続ける…そんな状況で苦しい思いをした方もいるかもしれません。
地元の中学校を卒業して隣の市の高校へ通うことに決めたわたしは、世界がグッと広がったように感じていました。それでも、まだまだ近い世代の子達のコミュニティという小さな世界。
そんな小さな世界の高校生たちが「進路」「職業」「仕事」について考えるだなんて、なかなか難しいことなのです。
- 大人がどんな生活をしているのか、想像もつかないからなんじゃないか。
- どんなお仕事があり、実際にどんなことをしてやりがいを感じているのかもわからずに、選択肢すらほぼない状態なのではないか。
- 大人になった自分たちが、なにか今の高校生たちの力になることはできないか。
そう考えた旭川北高校の卒業生たちは、母校の後輩たちに「先輩図鑑」という企画の贈りものを思いつきました。
旭川北高「先輩図鑑」とは?先輩から在校生への贈りもの
「先輩図鑑」は、旭川北高の同窓生と在校生が交流することで、在校生の進路選択の可能性を広げることを目指した取り組みです。
卒業生数名が「お仕事紹介」のプレゼンテーションを行い、その後生徒たちから質問を受けたり交流をしたりしています。
2016年2月からスタートし、年2回のペースで開催。
「先輩図鑑」の企画は、2007年の旭川北高卒業生が数名集まったときに「高校生のうちに大人がどんなことをしているか知りたかったね」という会話のなかから生まれました。
「高校生の時にこんな企画があったらよかったなぁ」ということを、先輩図鑑の企画者たちは実現させたのです。
母校の後輩たちに将来の可能性を広げる道をプレゼントする、そんな素敵な企画です。
第10回 先輩図鑑 2020年9月26日開催
2020年9月26日、記念すべき第10回を迎えた先輩図鑑。
コロナウイルス感染症による学校行事の中止が続くなかではありましたが、会場の換気などの対策をとり、第10回 先輩図鑑が開催されました。
第10回 先輩図鑑で、ゲストスピーカーとして参加した卒業生は、わたしを含めて5名。以下、発表順です。
- 一般財団法人 Mさん
- おみやげ店バイヤー ニュージーランド在住 nana
- 独立行政法人国際交流基金 バンコク駐在(Zoom参加)Kさん
- 高校英語教諭 Oさん
- シンガーソングライター まえだゆりなさん
「進学校に入学したのに、周りはみんな大学へ行くのに、就職で大丈夫かな…」と心配しながら進路を決めたわたしですが、すこしでも勇気を分けてあげられたらいいな思い、参加させていただきました。
一般財団法人 Mさん
一般財団法人 Mさん
- 高校生の頃はバドミントン部に所属
- 憧れを抱いて東京の大学へ進学
- 大学卒業後はホテルに就職し、転職して現在の職場へ
Mさんは、バドミントン部のひとつ上の先輩です。Mさんがいつも一生懸命練習に励んでいた姿を、今でも覚えています。
とくにこれといってやりたい職業もなかったと話すMさんですが、仕事をしていくなかで「自分はこういうことが好きだったんだ!」と気がつくことがあったと言います。
タイミングが合って応募した求人だったけれど、いろんな分野の仕事にやりがいを見いだせているとのことです。
生徒たちに「一度は、生まれ育った町を出てみてほしい」と力強くお話されたのがとても印象に残っています。
出会う人、訪れるチャンス、何もかもがちがうということを体験してほしいと伝えてくれました。
おみやげ店バイヤー ニュージーランド nana
おみやげ店バイヤー nana
- 高校生の頃はバドミントン部、生徒会執行部。
- 高校卒業後、北海道警察→オーストラリア ワーキングホリデー→リゾートバイト→ニュージーランド
- 「やりたいこと」以外にもその場の環境から楽しみややりがいを発見する
進学校に通ったのに進学せずに就職したわたし。実はそれをコンプレックスに思うこともありました。
でも、今回こうして自分の生き方をとおして高校生のみなさんとお話をすることで、母校に恩返しが出来たような気がしています。(自己満足かもしれないけど)
警察官もバイヤーも人から勧めてもらって「やってみよう」というスタートでしたが、やってみると本当にやりがいがあり、充実しています。
何かを選択するときや道を決めるとき、自分の心がワクワクすることや好きなことを選ぶことを恐れずにしてきた結果、今があります。
置かれた環境で楽しさを見つけられるというのも、今を楽しく生きる秘訣なのかもしれないなぁと自分でも思いました。
独立行政法人国際交流基金 バンコク駐在(Zoom参加)Kさん
独立行政法人国際交流基金 バンコク駐在 Kさん
- 高校生のころは生徒会執行部に所属、週末は映画を観るのが大好き
- 高校に入ったころから、アメリカの大学に行きたいと決めていた
- 好きなことの延長線上に今のしごとがある
小中高の同級生のKさん。学生のころから英語と映画への熱意がすごくよく伝わってきていました。
日本映画祭で作品選定をするのがいちばんすきなお仕事ということで、大好きな映画に関わるお仕事をとても楽しんでいるようでした。
「国際交流の舞台をつくるしごと」は「みんなが交流できる舞台の裏方」であり、生徒会執行部でやっていたことの延長だと捉えられると話します。
その背景があっての今一生懸命やっていることはきっと役に立つというあたたかい言葉は、自分のしていることを肯定してもらえたような気持ちで嬉しくなりました。
高校英語教諭 Oさん
高校英語教諭 Oさん
- 小さいころから、絵と洋画が好き
- 最終的に悩んだのは「英語で仕事をするか」、「英語を仕事にするか」
- クリエイティブなことが好きで、趣味を活かして仕事をしている
Oさんは、現役の高校教師ということで、高校生へお話するのがとっても上手でした。
絵を描くのがすきということを活かして毎週学級通信に4コマ漫画を載せているそうです。
好きなこと・得意なことや経験・人脈をフルに活用しているOさんは、「最終的に『これでよかった』って思えるのは、その後の自分の行動次第。」と伝えます。
教員になるためにやったこと以外にも、学校祭でリーダーをやったことやコールセンターのアルバイトなど、どんなことも「今」に繋がっていると感じているということです。
今回参加した卒業生のなかで一番在校生に近い年代のOさん。
正直、「これでよかった」かどうかはわからないこともあるけれど、迷いながら、道草しながら、少しずつ満足できる方向に行けたらいいんじゃない?と、等身大の姿で生徒たちに語りかける姿が印象的でした。
シンガーソングライター まえだゆりなさん
シンガーソングライター まえだゆりなさん
- 中高校生の頃の夢は英語教師
- 学校祭で歌を歌ったことがキッカケで人前で歌うことが好きになり、大学生で音楽の虜に
- 教師を目指して教育大に進学するも、大学在学中に方向転換
就活中に「やりたいことがあるのに、わたしはどこに就職したらいいんだろう」と違和感を覚えて、音楽の道に進むことを決意したゆりなさん。
現在フリーランスとして音楽活動をする傍ら、アルバイトも頑張っているそうです。
音楽となにかをかけ合わせて「音楽 × ○○」というかたちで人と繋がっていきたいと、これからの夢も生徒たちとシェアしてくれました。
「お金を稼ぐために働くのではなく、自分の好きなことで自分の好きな人達といいものをつくっていくために日々模索しながら活動している」と語るゆりなさんの今後の活動がすごく楽しみです。
この日、2019 – 2020年度NHK『ほっとニュース北海道』エンディング曲の『ぼくときみと』の生歌を披露してくれました!
歌い始めたとたん、急にマイクを持ったかのような声量にまずビックリ。
生徒たち以上に、参加した卒業生と企画者の心が揺さぶられていたかもしれません。生の歌声というのはこうやって届くんだなって、ほんとにしびれました。
記念すべき第10回にふさわしいスペシャルだったと思います。
YouTubeではミュージックビデオが公開されていますので、ぜひご覧ください!
第10回 先輩図鑑での新しい取組み「パネルディスカッション」
第9回までの先輩図鑑では、卒業生の職業プレゼンテーション後、グループごとに分かれて生徒たちと卒業生が直接質問に答える場がありました。
今回は新しい取組みとして、グループ交流に代えて「パネルディスカッション」を行いました。
参加する生徒さんたちに事前にアンケート調査を行って質問事項を数個ピックアップします。
- (英語で仕事をしている方へ)高校生のころに英語は得意だった?
- 今の仕事にたどり着いたキッカケは?
- 高校生のころの進路の悩みとその時の自分に言ってあげたいことは?
- など
当日は司会者からの質問に卒業生が答えるかたちで、すべての質疑応答を参加者全員が聴くことができる仕組みになりました。
今回の卒業生は「海外や英語」「転職や進路の方向転換」という点で数個の共通点がありましたので、パネルディスカッションは良かったんじゃないかな〜と思います。
パネルディスカッションから、いくつかおもしろいなと思ったことを抜粋します。
大学の情報は本だけではなかなか集めにくいから、活用できるものは活用する!本には書いていないけれど、その大学にどんな先生がいるのかなども大切。SNSや周りの人などからどんどん情報を集めよう。
大人に相談したとき、多くはそのひとが経験したことをもとに相談の回答がくる。
そのひとからの回答を「大人ってこうなんだな」と鵜呑みにせずに、「この方はこういう意見なんだな」というふうに自分の頭で考える。
悩んでいる状態は良くない、苦しい、辛いと思いがちだけど、悩んで自分で考えて決める過程は大切なことなので、しっかり向き合おう。
自分で自分を限定しないこと。偏差値は、ある一時の時の自分の順位を表す数字に過ぎないもの。その数字で将来が決まるわけではない。
高校生たちだけじゃなくて、わたしたちにも刺さる言葉がたくさんありました。
第10回 先輩図鑑に参加した在校生たちの声とそれを聞いて思ったこと
今回の先輩図鑑に参加していただいた生徒さんたちの感想を一部ご紹介します。
「自分の限界を決めつけない」というのが心に残った。
進路を決めたらずっとその道に進むと思っていたが、途中で変えてもいいということがわかった。
「もっと悩めばよかった」という先輩が多かったので、今悩んでいてもいいんだと思えた。
こういった生徒たちの声を聴いて、改めて「こうでなきゃいけない」「こうあるべき」という考えがいつの間にかできあがっていることがあるんだなと感じました。
在校生も卒業生もそれぞれのバックグラウンドがあるので、同じ場にいても感じることは人それぞれです。ほんのすこし心構えを変えたり、行動してみたり、そんな後輩が一人でもいたら嬉しいなと思います。
今すぐじゃなくて数年後にでも「あのときに先輩の誰かが言っていたような……」という、うっすらとした記憶にでもあればいいと、多くの先輩が思っているはずです。
先輩図鑑で先輩として後輩である在校生へ伝えたいこと
わたしが一番伝えたかったこと、それは好きなことを大切にして、自分の心に従って挑戦し続けてほしいということです。
たった一度きりの人生、誰かの理想を生きるんじゃなくて、自分の心の声をよく聴いてほしいなと。
わたしは高校生の時に自分のやりたいことを明確に思い描くことはできませんでした。どんな道があるのか、どこに進んだらいいのかわからないまま、就職の道を選びました。
周りのみんなが大学進学を選ぶなか、ひとりだけ違う選択をすることは正直不安もたくさんあったけれど、そんなときも、やっぱりだいすきなことが心にあったのです。
他の誰かと君を比べてみたところで
基準が違うし何の意味も無い
Startin’ 浜崎あゆみ
だいすきな浜崎あゆみさんの歌を聴き、自分を励ましながら、自分の選択に自信を持てるようになっていきました。
警察官として働いたことや一緒に働いた仲間たちと出会えたことを、今ではとても誇りに思っています。
「オーストラリアに行ってみたい」という幼い頃からの夢を追いかけて退職という決断をしたことも、自分の心の声を聴いて行動したから。
好きなことやワクワクする気持ちを大切にすることは、自分自身の人生を全うすることだと思っています。
これからも「先輩図鑑」と後輩たちを応援します
先輩図鑑という素晴らしい企画を、ぜひこれからも継続していってほしいと思っています。
これからの未来を担う世代に違う世界を見てもらうキッカケをつくることで、彼らの可能性が大きく広がるでしょう。
先輩から後輩へ未来の選択肢を広げるための機会をつなぐバトン「先輩図鑑」。
先輩たちからのメッセージが、後輩たちの未来をほんのちょっと動かすチカラになりますように。
with LOVE, nana